【昭和3年】文・学

*三・一五事件
日本共産党員大量検挙を取材した小説として、中野重治「春さきの風」(戦旗、昭和3年8月)、小林多喜二「一九二八年三月十五日」(戦旗、昭和3年11月12日)がある。「一九二八年三月十五日」は「蟹工船」とあわせて昭和5年9月単行本となったが、即座に発禁、しかし1万5,000部が特殊配本ルートで流布。

*ナップ結成
3月25日
三・一五事件を機に日本プロレタリア芸術連盟と前衛芸術家同盟とが合同し、全日本無産者芸術連盟のち全日本無産者芸術団体協議会(ナップ)を結成。中央機関紙「戦旗」のち「ナップ」を創刊、労働芸術家連盟の「文芸戦線」とはげしい対立抗争をくりひろげる。指導的理論家蔵原惟人とし、結成当初旧プロ芸出身の中の重治との間で「芸術大衆化論」をめぐって論争、翌年の芸術的価値論争につながる。政治的には共産党と深くかかわるようになり、共産党と深くかかわるようになり、共産党シンパ事件ではナップ成員から数名の犠牲者。

*「詩と詩論」創刊
9月
春山行夫が主宰、昭和6年12月まで刊行。シュールレアリズムや新心理主義の詩論、文学論、西欧の新しい文学を紹介し、昭和詩の中にモダニズムを確立させた。理論的支柱であった西脇順三郎をはじめとして北川冬彦、安西冬衛、竹中郁、三好達治、滝口修造らが中心となる。昭和5年には北川冬彦らが分離して「詩・現実」を創刊、7年には「文学」と改題。

*野上弥生子「真知子」(「改造」)
林芙美子「放浪記」(「女人芸術」)
山本有三「波」(朝日新聞)
窪川いね子(佐多稲子)「キャラメル工場から」(「プロレタリア芸術」)
大仏次郎「角兵衛獅子」(「少年倶楽部」絵・伊藤彦造)

*鶴見祐輔『英雄待望論』
佐藤紅緑『あゝ玉杯に花うけて』
中村武罹夫『誰だ!花園を荒す者は!』
平林たい子『施療室にて』
高浜虚子『虚子句集』
萩原朔太郎『詩の原理』
草野心平『第百階級』
河上肇『資本論入門』
三木清・羽仁五郎・林達夫編集『岩波講座 世界思潮』刊行始まる。

*『マルクス・エンゲルス全集』(改造社)刊行開始。

*三木清・羽仁五郎らの「新興科学の下に」創刊。

*大正14年に70万部で創刊された「キング」の後を追って大衆娯楽雑誌「平凡」(平凡社)「富士」(講談社)創刊。

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