池田男爵殉死

夜九時半頃府下中野町一〇五四予備陸軍少佐従四位勲四等男爵池田正佑(四五)氏邸の奥十二畳間から突然ぐわう然たる銃声が起つたので、家人が直にかけつけて見ると主人正佑が、床の間に羽織はかまの端然たる姿のまま即死して居るので大に驚き直にこの旨中野署に届出た。同署から係官出張検視をしたが傍に男爵が日頃愛用の三十六番猟銃が置いてあり、咽喉部から後頭部にかけて見事一発のもとに貫き覚悟の自殺と分つた。床の間には二通の遺書あり。その一は御大喪に会し今上陛下の御孝養の程を拝聞し身に顧みて恐くの至りに耐へずこゝに慚死を相決し候もの他臣池田正佑とあり。
(東京朝日・1・1)

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