特殊部落民兵士の直訴

名古屋練兵場における観兵式での天皇御閲兵中、歩兵大六十八連隊の前方に進まれた時、同兵歩兵北原泰作二等卒(水平社員)が隊列を離れ右手に銃を持ったまま左手に訴状を捧呈しようとしたが、侍従武官が乗馬でさえぎり、奥田少尉により抱きとめられ憲兵隊に引き渡された。直訴状は左の如し。

訴  状
恐れながら訴へに及び候
一、軍隊内に於ける吾等特殊部落民に対する賤視差別は封権制度下に於ける如く峻烈にして差別争議続発し其解決に当り当局の態度は被差別者に対して些少の誠意もなく寧ろ弾圧的である。
一、全国各連隊内に於ける該問題に対する当局の態度は一律普遍であるが陸軍当局の内訓的支持と見る事が至当である。
一、歩兵第二十四連隊内に惹起せし差別争議のための被差別側の数名は警官の巧なる犯罪捏造に依り牢獄に投ぜられんとして居る
右の情状御聖祭察の上御聖示を賜はり度
及訴願候 恐々拝々
昭和二年十一月
歩兵第六十八連隊第五中隊
陸軍歩兵二等卒 北原泰作

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