空気条令

大建築物内部の空気が混濁してゐるため年々多数の呼吸器病患者をだしつゝある事はすでに一般的に認められて各会社、銀行、百貨店等では自発的に東京市衛生試験所に依頼し空気検査を行つてゐるが、いづれもこれを公表する事を避け某大百貨店の如きは最下層の地下室に勤務する者に対しては特に俸給を増やしてゐる程であるが、積極的に空気を浄化する方法はほとんど行はれてをらず、結局建築条令によつて規定の窓を作つてあれば如何に空気が粗悪でもかまはぬ事になつてゐるので、警視庁ではかねてこれが取締りについても研究を重ねてゐたが、最近これを空気条令として布告する事に大体一決し衛生部内衛生研究所係を新設し増員および空気試験の重要器具類購入等に関する予算を直に申請する事になつた。即ちい空気条令が布告されゝば、人体に直接間接に有害と認められる空気の標準を作つて間断なく各種の大建築物、殊に活動写真館、劇場、百貨店等を係員が巡回し場合によつては営業停止、一室の出入禁止の処分をもつて取締る事になるため、従来の如く単に建築物取締にふれない程度に換気窓をつけたり有名無実の窓をつけたりする欠点が一掃されるわけで、諸外国の例に見ても非常に重要な近代的取締令といはれてゐる。
(東京朝日)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です