警視庁と憲兵隊

警視庁と憲兵隊は共に司法警察官の立場から互に捜査事務の連絡をとり特に高等、外事関係における要視察人の動弱等について常に通牒を交換し捜査上の便宜をはかつて来たが、最近感情問題の衝突から警視庁と憲兵隊との間に大きな軋轢を生じ警視庁では各警察署の高騰主任を麹町署に招致して今後憲兵隊に対しては一切便宜を与へる必要なき旨通告した。衝突の起りは去る1月8日陸軍始観兵式当日の直訴犯人逮捕の時警察官と憲兵とは犯人を同時に組み伏せたが現場付近に憲兵隊のサイドカーがあつたために犯人を赤坂憲兵分隊にさらはれ憲兵隊が犯人取調中、またまた千駄ヶ谷署員数名が乗り込んで犯人をかつぎ出し警察に連れ去つたので二宮憲兵隊長及び小山赤坂分隊長はカンカンに怒り、この事情を知らず赤坂憲兵分隊に犯人取調べのため出張した警視庁纐纈特高課長及び石井特高係長に対して面会を拒絶し両氏に向つて「下れ!」と怒鳴りつけたのがこの大きな軋轢を生じた訳である。
(東京日日)

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