正力松太郎氏、壮漢に切られ重傷

午前8時40分頃読売新聞社長正力松太郎氏が同社玄関にさしかゝつた際、左側の新聞掲示場前に佇んでゐた黒のオーヴアに茶の大柄の縞背広服を来た30歳位の男が二言三言口走つたが、正力氏が相手にせずそのまゝ入らうとしたのでいきなり「国賊!」と叫んで後方から左頸部に切りつけ長さ14センチ深さ6センチの重傷を負はせ逃走した。正力氏は多量の出血があり安政を要するので引つゞき同社診療所で加療中だが、頸動脈を外れてゐるので生命は取り止める模様である。犯人は同50分丸の内書に現はれ「只今正力をやつゝけてきた」と血に塗れた日本刀を赤地に模様入りの鞘に納めて自首、熊本市春竹町984生れ、下谷区御徒町1の13柔道々場武神会々長熱田氏方元警視庁巡査長崎勝助(30)と判明。
今回の動機としては正力氏が帝人事件、美濃部博士の著作問題、ベーブ・ルース等の招聘に関し同氏の態度に憤慨したと申立て取調べの係官に対し「怪しからん奴だから腕の一本もへし折つてやる積りのところ、手許が狂つた」と殺意を否認してゐる。
(時事新報)

先生の「桃色内職」禁止

帝都一小学校長の無軌道な「桃色行状記」から端しなくも現職教員の妻がバーを経営してゐることが暴露して俄然小学校教員の内職問題が各方面の論議の的となつてきた。小学校長及び教員の内職は小学校令施行規則によつて府県知事の認可を得なければ出来ないことになつてゐるが、その家族の内職は何等の規程がなくどんな種類の内職を選んでも一向差支えないことになつてゐる。文部省では東京市を通じて都下小学校の内職教員を徴さしたところ、バー、カフエーを経営さしてゐる教員が10数名あらはれた。よつて文部省では近く断乎法規を改正するか、訓令により全国的に教員のこの種内職を一律に取締ることになつた。
(読売)

谷崎潤一郎氏、再び結婚

谷崎潤一郎(50)は久しく阪急沿線岡本に住んでゐたが、1年ほど前から夫人丁未子さん(29)は病気のため別居し両社の性格の相違などから双方協議の上、円満に離婚することゝなり、昨年10月丁未子さんを正式に谷崎家から離籍の手続きをへ、今回氏の芸術のよき理解者としてかねて相知つてゐた大阪市新炭屋町森田詮三氏令妹松子さん(33)との婚約が急に進み、去月28日弁護士木場悦熊氏の媒酌で阪神沿線精道村打出の自宅で親戚知友ら打ち揃つて目出度く結婚式を挙げ近く披露の宴を貼る筈。
(東京日日)

お鯉さん、花街から退く

故桂公の愛妾お鯉さん事安藤てるさんが経営してゐた問題の赤坂の待合「鯉住」が11日突如のれんを外してしまつた。岡本一巳代議士の全法相小山松吉氏告発事件で、一躍天下の注視の的となつてゐたが、法廷に立つて客の暴露を敢行して以来、「鯉住」の名が有名になるのと反比例に客足はぐつとさびれて行つた。「今日の政党政治家は眼中になし」と揚言し、軽く鼻であしらつてゐたお鯉さんにも落莫の秋は訪れ、偽証罪で10月の求刑を受け、つひに紅灯街から引退することになつた。お鯉さんが「鯉住」を開業したのは昭和7年2月11日だつたが、その開業記念日が店仕舞の記念日にならうとは!。
(報知新聞)

児童虐待防止法の欠陥暴露

内務省が最初の社会政策として制定した児童虐待防止法が施行されて1年余、その施設が最も完備し最も励行されてゐる東京府では、既に今日まで可憐な街の子60名を収容し保護団体に委託して温い手で育てゝゐるが、防止法立法当時当局者たる府社会課辺りで最も危惧した年齢制限が早くも現実の問題となつて当局者の頭を悩ませてゐる。現行法では虐待児童は満14歳まで保護するがそれ以上留めておく権能がない。従つて満14歳になつた児童は防止法の庇護がうけられない。収容児童が男子の場合不良化だけは教護法の適応によつて防がれるが、女子の場合しかも芸妓、娼妓に売られやうとした娘を保護した場合、この期限終了後彼女等の辿る途がいかに悲惨であらうとも法律はどうにもならないと言ふ矛盾した実例が此の3月に1人、5月に1人出ることになつたので、今更の如く年齢延長問題が喧しくなり、年齢到達後児童が再び売られることが確然とした場合、収容年齢を18歳まで延長することと云ふ付則を制定し、もし全国的に出来ない場合、府県知事の認定によつて行へるやうにしやうと云ふ運動を府社会課が主体となつて起こすことになつた。
(国民新聞)

帝国少年団協会設立 400万少国民を動員

国防第二陣に全国400万少年の動員――非常時にふさはしいフアツシヨ的な少国民の大指導機関「帝国少年団協会」が今度誕生した。今後は同協会が全国少年団の指針となつて150万を擁する学校少年団を始め少年団の既成団体である団員8万の少年団日本連盟、同3万の岳陽少年団、200万人の団員を持つ少年赤十字等全国の少年団員と連絡をとり、教育の根本方針に従ひ、まづ世界に誇る大和魂を強固にすることを主眼に活動を始めることとなつた。理事長には陸軍大将鈴木孝雄氏がなり、常任理事には大島正徳、大沼直輔両氏が就任。
(報知新聞)