米穀通帳・外食券制

3月31日
東京府当局が6大都市で米の通牒制実施に先がけ、年齢別による個人当り割当定量を発表。個人当り割当定量は左のとおり。(年齢は何れも数え年)
1歳から5歳まで 120瓦(0.845合)
6歳から10歳まで 200瓦(1.405合)
11歳から60歳まで(甲種) 330瓦(2.32合)

普通増量を受ける労働者(乙種)
男 390瓦(2.745合)
女 350瓦(2.48合)

特別増量を受ける労働者(丙種)
男 570瓦(4.005合)
女 420瓦(2.95合)

甲種の61歳以上
300瓦(2.108合)

乙種の61歳以上
男 350瓦(2.48合)
女 320瓦(2.25合)

丙種の61歳以上
男 480瓦(3.37合)
女 380瓦(2.64合)

4月1日
生活必需物資統制令交付。6大都市(東京・大阪・名古屋・京都・神戸・横浜)で米穀配給通帳制、外食券制実施。

永井荷風『断腸亭日乗』より

三月廿九日。今日も風歇(や)まず。寒さ冬の如し。……中略……町の噂に新内節(しんないぶし)師匠は去年御法度(ごはっと)この方門口へ師匠の看板かけることを禁ぜられたりといふ。歌沢節(うたざわぶし)も芝派寅派の差別なくこれも御法度の由。されば、小唄(こうた)も同様なるべく、薗八節(そのはちぶし)は言ふまでもなきごとなるべし。或人は江戸俗曲の絶滅することを悲しめどもこは如何ともする事能(あた)はざるものならむ。新政府の法令なしとするも江戸時代風雅の声曲は今日の衆俗には喜ばるるものならず、早晩絶滅すべきものなればなり。余が著述の如きもこれを要するに同じ運命に陥るべきものなるべし。
(永井荷風『断腸亭日乗』より)

企画院事件

企画院調査官和田博雄、「共産主義に共鳴し、社会主義社会の実現を企図したもの」として検挙、続いて稲葉秀三、大政翼賛会組織局の勝間田清一、和田耕作らも検挙(企画院事件)。農業問題を国民経済全体の中に位置づけ農地・土地問題実態調査をしていたことからフレーム・アップされた。

花見の昼酒OK

3月
昼酒は許されないのだが、内務省警務課ではお花見が国民の季節的行事でもあり、人心を和げるという建前から、紀元二千六百年記念やお正月のように全面的な昼酒は許さなくても、各自が花見場所に持参して飲むのは酔態を演じない程度で黙認しようといふ粋な方針で臨むこととなり、本省の意向を各地方庁へ伝達。

職人の「腕」も丸公

国家総動員法改正実施。この中でも最も我々国民生活に身近な影響を与へるのは第19条の改正で「国家総動員上必要ある時は勅令の定むるところに依り価格、運送費、保管料、賃貸料、加工料云々」とあるのに更に「修繕料その他の財産的給付」を追加して「必要なる命令をなすことを得」とした一項で、物価の元締商工省物価局ではこの改正に基いて既に施行中の価格等、小作等、地代家賃、宅地建物等、臨時農地価格の五統制令に加へて、新たに修繕料及びその他の物価の公定に着手することになつた。修繕料といつても洋服屋さんから洋裁直しまで腕次第の商売往来さまざまで、「腕」だけに却々難しく新潮に研究中であるが、大体技術の優劣を格付して諸物価と睨み合わせて決定する方針。
又「その他の財産的給付」とは諸負賃、手間賃、サーヴイス領、宿泊料、入場料等を含むもので、実施の暁ともなれば盛り場の女給さんも一切公定サーヴイスになるし、花柳界では芸妓の花代、麻雀、野球の料金何れも公定価で客も大いに安心。興業界にも影響覿面で豪華な歌舞伎も自然大衆のものにならう。又残つた商売ではお坊さんの回向料がある。これは夫々門地に依つて規格し、つまり5円級、3円級とお坊さんにの有難さも金次第。但しこゝに丸公の難物な商売が一つ二つある。といふのは弁護士の報酬と医者の診察料何れも人間大事に臨んで依頼する商売だけに、その人次第で一寸丸公並に切れぬ悩みがあり、当局でも頭を捻つてゐる。
(中外商業)