【昭和48年】冥友録

2月11日 島田啓三(72)
東京・練馬区の自宅で脳血栓のため。昭和8年(1933)6月から「少年倶楽部」誌上に連載した「冒険ダン吉」が大ヒット。以後「半ちゃん捕物帳」「ネコ七先生」などを毎日新聞に連載した。

2月18日 フランク・コステロ(82)
ニューヨーク市の病院で。ニューヨーク市に君臨したイタリア生まれのギャングの大ボス。コステロを一躍有名にしたのは、1951年に米上院犯罪調査委で証言したとき、彼はテレビカメラに映るのを拒否し「私はかつて酒の密売をしたこともあるが、現在は品行方正な人間だ」と述べ、米政府はコステロを出身地イタリアに国外追放しようとしたが、61年最高裁で国外追放却下の判決が下った。この時コステロは「私の生涯で最大の勝利だ」と豪語した。

3月1日 吉田一穂(74)
東京・目白の鬼子母神病院で急性肺炎のため。詩人。明治31年(1898)北海道生まれ。早大中退後、「日本詩人」「詩聖」などに詩を発表。大正13年(1924)童話集『海の人形』を刊行。15年(1926)処女詩集『海の聖母』を刊行、知的な構成による象徴主義的叙情詩として注目される。昭和7年(1932)福士幸次郎らと「新詩論」創刊。アナキスティックな発送により詩集『故園の書』『稗子伝』、詩論集『黒潮回帰』など刊行。「歴程」同人。

3月6日 パール・バック(80)
バーモント州ダンピーで死去。アメリカの女流小説家。ウェストバージニア州ヒルスボロに生まれる。宣教師の両親と生後数ヵ月で中国に渡る。高等教育をアメリカで受けたほかは結婚後も中国で暮らし30年中国の新旧体制の対立を扱った処女作『東の風、西の風』を発表。翌年『大地』を書き、ピュリッツァー賞受賞。一躍人気作家となる。34年よりアメリカに永住。離婚と再婚を経て38年ノーベル文学賞を受賞した。

3月17日 石井鶴三(85)
東京・板橋区の自宅で心臓衰弱のため。彫刻家、洋画家、版画家。明治20年(1887)東京生まれ。父は日本画家の石井鼎湖、柏亭は兄。東京美術学校彫刻科卒業。大正5年(1916)日本美術院同人となり、戦前戦後を通じて彫刻部の指導的役割をはたす。代表作に「浴女」「俊寛」など。また洋画を二科展、日本美術院に出品、春陽会会員、日本水彩画会会員となる。さらに創作版画協会の創立に参加、昭和14年(1939)日本版画協会会長となる。中里介山の『大菩薩峠』など挿絵にもすぐれた作品を残した。27年(1952)法隆寺金堂の再建修理にあたる。

3月25日 エドワード・スタイケン(93)
写真家。1879年、ルクセンブルク生まれ。1880年、アメリカに移住。画家を志すが、第一次大戦後写真に専念する。ニューヨーク近代美術館写真部長を勤め、1955年、写真展「ザ・ファミリー・オブ・マン」を企画、開催。

3月26日 ノエル・カワード(73)
イギリスの劇作家、俳優。1899年ミドルセックスのテディンガムに生まれる。11歳の時俳優として初舞台を踏み18歳で戯曲を書くという早熟ぶりを発揮し以後、俳優、劇作家、演出家、作曲家として幅広く活躍。24年「渦巻」で批評家の注目を集めると共に芝居はロング・ランを重ね興行的にも成功。ロンドンの代表的演劇人となる。更に映画のシナリオ、自伝、小説等も手掛けた。

3月28日 椎名麟三(61)
世田谷区松原の自宅で脳出血のため。明治44年(1911)兵庫県生まれ。本名大坪昇。姫路中学3年のとき出家、見習いコック、電鉄乗務員、鉄工所職工など各種の職場をめぐり、その間、共産党員として検挙もされた。ドストエフスキーにより文学開眼、昭和22年(1947)『深夜の酒宴』、『重き流れの中に』などで第一次戦後派作家として注目され、翌年『永遠なる序章』で、これまでの絶望と現実否定の哲学から、“日常性の尊重”“生への肯定”への模索を示し、26年(1951)キリスト教の洗礼を受けた。その後、『自由の彼方で』、『美しい女』などによって新境地を開き、43年(1968)『懲役人の告発』を発表。

4月1日 横山操(53)
日本画家。大正9年(1920)新潟県生まれ。中学卒業後状況、昭和14年(1939)川端画学校に入り、院展に入選。翌年青龍社展に入選し、川端龍子に師事。同年応召し中国に従軍、戦後はシベリヤに抑留されたが、25年復員すると同時に青龍社展に出品、受賞を重ね33年(1958)社人となる。翌年日本国際美術展で優秀賞を受賞。37年(1962)青龍社脱退後は自由な創作活動に専念。リッカービル、ヒルトンホテルなどの壁画を制作。

4月1日 菊田一夫(65)
東京・信濃町の慶応病院で尿毒症に脳卒中を併発して。明治41年(1908)横浜生まれ。萩原朔太郎の紹介でサトウハチローに師事し、昭和4年(1929)浅草公園劇場の文学部に入り、大衆演劇の脚本を書く。以後「花咲く港」(18年(1943))「鐘の鳴る丘」(22~25年(1947~1950))「君の名は」(27~29年(1952~1954))「がめつい奴」(34年(1959))などの戯曲を書く。また38年にはブロードウェー・ミュージカル「マイフェアレディ」を翻訳上演、日本のミュージカル史の1ページを飾った。30年(1955)からは東宝取締役もつとめた。

4月8日 バブロ・ピカソ(91)
南フランスのムージャンで肺水腫のため。スペインの画家。1881年マラガに生まれる。画家の父の元で幼いころから早熟な才能を発揮。1900年パリに出て「青の時代」、「バラ色の時代」を経て07年ブラック等と共にキュビスムを創始し現代画家への道を開拓。更に新古典主義を経てシュールレアリスムに接近。スペイン内乱の折には37年の大作「ゲルニカ」を製作。戦後も旺盛な製作を続けた。代表作に20世紀絵画の記念碑「アヴィニョンの娘たち」がある。

4月15日 カール・ケレーニー(76)
ハンガリー出身の古典学者、宗教学者、神話学者。1897年南ハンガリーのテメシュバールに生まれる。ブダペスト大、ベルリン大で学び故国の大学区教授と諸外国の客員教授等を勤めるが、1943年スイスに亡命し48年以降チューリヒのユング研究所で講座を持つ。古典文献学者としては破格の存在であり、研究対象である神話の世界を生きる文学的な一面を持っていた。ユングとの共著に『神話学入門』がある。

4月19日 ハンス・セルゼン(91)
オーストリアの法律学者。1881年プラハに生まれる。1914年ウィーン大学、29年ケルン大学教授を歴任するがユダヤ系であったためナチスを避けて亡命。33年ジュネーブの高等国際研究所勤務、36年プラハ大学教授、次いで渡米し42年カリフォルニア大学講師。法理論のイデオロギー性を排した実定法の規範科学としての「純粋法学」を提唱。主著に25年『一般国家学』、34年『純粋法学』がある。

4月23日 阿部知二(69)
東京・築地のがんセンターで食道ガンのため。小説家、評論家。明治36年(1903)岡山県生まれ。昭和5年(1930)評論集『主知的文学論』で注目される。10年(1935)「文学界」同人となり、翌年小説『冬の宿』を発表、知識層に好評をえる。戦中、自由主義の立場は揺るがず、長編『風雪』を刊行。戦後も『黒い影』『白い塔』など佳作を発表。28年(1953)、メーデー事件特別弁護人として法定に立った。

4月27日 吉田富三(70)
東京・千代田区神田駿河台の杏雲堂病院で糖尿病とびまん性間質性肺炎のため。「吉田肉腫」の発見で世界的に知られる病理学者。征ガン運動や医療問題にも取り組み、従来の日本医師会のあり方を批判して、40年(1965)7月には「医のあり方」を考えていこうと日本医学協会を設立、会長に就任。

4月28日 ジャック・マリタン(90)
トゥールーズで死去。フランスのカトリック哲学者。1882年パリに生まれソルボンヌに学ぶ。初め社会主義に接近するが1906年カトリッックに改宗。ベルグソンの影響から脱し、ネオ・トミスムの旗手として近代主義を批判した。1914年カトリック学院教授に就任。第二次大戦中はカナダに亡命し、戦後45年バチカン大使、48年プリンストン大学教授に就任。61年引退後帰仏した。

4月30日 大佛(おおらぎ)次郎(75)
東京・築地の国立がんセンターで肝臓ガンのため。小説家。明治30年(1897)横浜生まれ。東大卒業後外務省に勤めながら翻訳を手がける。大正13年「鬼面の老女」に始まる『鞍馬天狗』の連作を開始、本格的な作家活動に入り、連作は昭和34年(1959)まで続けられた。その間『照る日くもる日』『赤穂浪士』などを発表、大衆作家としての地位を確立。時代もののほかに『帰郷』『宗方姉妹』などの現代小説も書き、また史伝も手がけ、『パナマ事件』『パリ燃ゆ』などのほか、未完のライフワーク『天皇の世紀』がある。戦中報道班員として中国各地を緑効、戦後は東久邇内閣の参与を2ヵ月務めた。

5月2日 関鑑子(73)
代々木公園のメーデー中央大会で倒れ、虎の門病院に運ばれたがクモ膜下出血のため死去。声楽家。「日本のうたごえ」運動の創始者で、昭和30年(1955)スターリン平和賞(のちのレーニン賞)受賞。

5月24日 カール・レビット(78)
1879年生まれ。ドイツの哲学者。ナチスの台頭で日本、アメリカ等に亡命。一時東北大講師を勤める。1952年帰国、ハイデルベルク大教授。著書に『ヘーゲルからニーチェへ』など。

6月2日 近衛秀麿(74)
東京・世田谷区野毛の自宅で脳内出血のため。指揮者。明治31年(1898)東京生まれ。父は近衛篤麿、兄は文麿。大正12年(1923)よりヨーロッパ留学、ダンディ、クライバーらに学ぶ。14年(1939)山田耕筰と日本交響楽団(現N響)を創設、主宰。昭和27年(1952)近衛交響楽団を組織。欧米への演奏旅行やわが国各地での客演指揮を重ね、交響楽運動に大きく貢献した。また雅楽を近代管弦楽に編曲した「越天楽」など編曲での業績も大きい。

7月8日 マックス・ホルクハイマー(78)
ドイツの哲学者、社会科学者。1930年、フランクフルトのJ・W・ゲーテ大学教授、社会科学研究所長を兼任。33年、ナチ政権が誕生するとアメリカに亡命し、49年帰国。Th.・アドルノらとの研究に「権威主義的人格」などがある。

7月11日 吉屋信子(77)
鎌倉市の恵風園胃腸病院で直腸ガンのため。小説家。明治29年(1896)新潟県生まれ。大正6年(1917)より「少女画報」に「花物語」を連載、少女小説作家として出発。8年(1919)『地の果てまで』が「大阪朝日新聞」の憲章に一等当選、ついで『海の極みまで』『空の彼方へ』を発表し長編作家として知られ、キリスト教的理想主義を根底にした作品は婦人層に強い支持を得た。ほかに『良人の貞操』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』など。

8月1日 松井翠声(73)
鎌倉市の清川病院で肝臓ガンのため。昭和初期、故徳川夢声と並び無声映画の活弁士として活躍。昭和5年(1930)米映画「パラマウント・オン・パレード」に“通訳”で出演。戦後はNHKラジオ「陽気な喫茶店」にレギュラー出演。司会者、漫談家として親しまれた。

8月3日 時実利彦(63)
東大病院で前立腺ガンのため。東大名誉教授。岡山県出身。永年、わが国脳研究のまとめ役として活躍。著書に専門書のほかに『脳の話』『人間であること』など。

8月27日 白鳥省吾(しろとりせいご)(83)
詩人。明治23年(1890)宮城県生まれ。はじめ自然主義文学の影響をうけ口語自由詩をつくるが、福田正夫の「民衆」に参加、民衆詩派の詩人として活躍し、農民生活をテーマに淡々とした詩風を見せた。大正15年(1926)大地舎を設立し「地上楽園」を刊行。詩集『世界の一人』『大地の愛』などのほか評論集『民主的文芸の先駆』など。

8月31日 ジョン・フォード(78)
カリフォルニアの自宅でガンのため。アメリカの映画監督。アイルランド系移民の家に生まれる。メイン大学に学び1914年映画界入り。17年監督となり24年「アイアン・ホース」等サイレント映画の傑作を生んだが、トーキー時代にその真価を発揮し35年「男の敵」でアカデミー賞を受賞。39年「駅馬車」で西部劇の一定型を確立。40年リアリズムの傑作「怒りの葡萄」で再度アカデミー賞を受けた。

9月2日 ジョン・R・R・トルーキン(91)
1892年生まれ。オックスフォード大学教授。児童文学『ホビットの冒険』(1937)や、ファンタジーの大作『指輪物語』(1954~5)を書く。

9月11日 エドワード・エヴァン・エヴァンズ=プリチャード(71)
イギリスの人類学者。1902年サセックス州に生まれる。オックスフォード大学エクスター・カレッジで歴史学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでマリノフスキーに人類学を学びアザンデ族研究で博士号を受ける。46年オックスフォード大学教授に就任。ラドクリフ=ブラウンと共に社会人類学の重要な推進者。機能主義を重視しながらも歴史的視点の重要性を主張した。

9月9日 杉村キナラブック(85)
老衰のため旭川市の自宅で。アイヌの叙事詩「ユーカラ」の伝承者。明治21年(1888)深川市に生まれ、杉村コキサンクロと結婚、旭川市の近文で生活。女性だけに伝承される近文アイヌのユーカラ、叙事詩「オイナ」や昔話「ツイタック」の貴重な伝承者。また、民族工芸にもすぐれた手腕を発揮。

9月21日 古今亭志ん生(83)
心筋梗塞のため、東京・荒川区西日暮里の自宅で。落語家。本名美濃部孝蔵。東京・浅草生まれ。“廓ばなし”を得意とし、代表作に「品川心中」「風呂敷」「ラクダ」などがあり、トボケたようで現代感覚に富んだ巧みな語り口で人気があった。長男は金原亭馬生(故人)、二男は古今亭志ん朝。

9月23日 パブロ・ネルーダ(69)
社会主義のアジェンデ政権が軍事クーデターで倒されるのを憤怒の思いで見送りながら死の床につく。チリの詩人。チェコの詩人ヤン・ネルダに傾倒して10代より筆名を用い24年『二〇の愛の詩と一つの絶望の歌』で詩人としての地位を確立。27年より外交官として活動。シュルレアリスムを九州市33年『地上の住処』に結実させるが赴任先のスペインで内乱に接し社会派詩人に変貌。政治に関わると共に50年『大いなる歌』を著しスターリン国際平和賞、71年ノーベル文学賞を受賞した。

9月28日 W・H・オーデン(66)
ウィーンの別荘で死去。イギリスの詩人。1907年ヨークに生まれる。フロイトとマルクスの影響を受けオックスフォード大学在学中よりエリオット以後の30年代文学の担い手として活躍。1937年スペイン内乱に参加し39年渡米し後に帰化。作品は次第に宗教的な境地へ向かう。56年よりオックスフォード大学教授に就任。代表作に30年『詩集』。イシャウッドとの共著で35年の詩劇『皮をかぶった犬』、48年詩集『不安の時代』等がある。

10月8日 ガブリエル・マルセル(83)
パリで死去。フランスの哲学者、劇作家。1889年同地に生まれソルボンヌで哲学を学びリセで教職につくが、23年以降思索に没頭する。29年モーリアックの勧めでカトリックに回心し、キリスト教的実存主義の立場に立ちサルトルの無神論的実存主義と対立。不安に対して希望と愛を唱え、神を客体化されない絶対的「汝」と見た。27年「形而上学日記」、50年「実在の神秘」のほか多くの戯曲を残している。

10月21日 我妻栄(78)
急性胆ノウ炎のため静岡県熱海市の国立熱海病院で。明治30年(1897)4月1日、山県県米沢市生まれ。昭和2年(1927)、東大法学部教授、20年(1945)法学部長。社会学的な手法を法律学に適用し、法律解釈に新分野をひらいた民法の権威。

10月22日 パブロ・カザルス(96)
心不全のためプエルトリコの病院で。チェロ奏者。1876年12月29日、スペインのカタロニアに生まれ、音楽家の父から手ほどきをうける。1895年、パリでデビュー、以来第一級のチェリストとして多彩な活動をつづけた。ファシズムに反対してスペインのフランコ政権が続くかぎり祖国へ帰らないとの態度をとっていた。

10月27日 今和次郎(85)
心臓麻痺のため東京・保谷市の自宅で。早大名誉教授、建築学。明治21年(1888)青森県弘前市生まれ。東京美術学校図案科卒。昭和初期から時代の断面をとらえる考現学を提唱。家政学、服装や風俗、娯楽、工芸デザインなど日本人の生活全般にわたり、ユニークな研究科であった。昭和のはじめ、銀座の化粧品会社で「風俗研究のために」3年間も番頭をつとめ、今日の開きんシャツの原案を考案。

11月13日 サトウハチロー(70)
詩人。明治36年(1903)東京生まれ。佐藤紅緑の長男。8つの中学を転々とするなど自由奔放な生活を送りながら詩を作り、大正15年(1926)詩集『爪色の雨』を出版。童謡、歌謡曲の作詞家としても活躍し、昭和29年(1954)、童謡界への貢献によって文部大臣賞受賞、ほかに詩集『おかあさん』がある、作家佐藤愛子の兄。

11月17日 浜田広介(ひろすけ)(80)
前立腺ガンのため田園調布の自宅で。童話作家。明治26年(1893)山県県生まれ。早大在学中より小説、童話を発表。大正10年(1921)童話集『むく鳥の夢』、翌年『大将の銅像』を出版、本格的な作家生活に入り、以後叙情性豊な幼年童話を多く創作、「ひろすけ童話」として親しまれた。昭和9年(1934)「童話童謡」を創刊主宰。30年(1955)より日本児童文芸家協会理事長をつとめる。『アンデルセン童話集』の翻訳も手がけた。

12月17日 山内義雄(79)
肺ガンのため東京・新宿区の江戸川アパートの自宅で。日本芸術院会員、元早大教授。フランス文学の翻で業績を残し、とくにマルタン=デュ=ガールの長編小説『チボー家の人々』の名訳。昭和12年(1937)から16年間も費やした労作で、改版のたびにも手を入れ、翻訳の文学性を高めた。

【昭和48年】雑事

6月10日
上野-万世橋-神田-銀座-新橋5.5キロ歩行者天国に。

6月
山階鳥類研究所研究部長の黒田長久理博(54)による初のカラスの全調査で、東京に3,000羽のカラスがいると判明。

8月1日
鉄道弘済会売店、KIOSKと呼称。

8月25日
新宿三井ビル完成。

9月2日
ソ連のコーカサス山中に住む世界最長寿者シラリ・ミスリモフ(1805年生まれ・168歳)病没。

9月15日
新宿駅東口地下街「サブナード」オープン。

10月1日
日経産業新聞創刊。

11月14日
本州と九州を結ぶ、東洋一、世界第10位のつり橋「関門橋」が開通。

*ライツミノルタCL発売。

【昭和48年】生活

1月4日
定期郵便貯金利用者などに対し郵便局窓口で最高10万円融資を認める庶民金融スタート。

2月
大塚製薬、ゴキブリホイホイ発売。

4月
東京の帝都高速度交通営団に28台の1,000円札両替機。

6月14日
パルコ渋谷店オープン。

10月1日
富士化学、赤チン製造中止。

*男性のハイヒール、ブーツ、タンクトップ・シャツ流行。

*フィリップス、コーヒーメーカー発売。

*シアーズ、西武流通グループと提携し日本上陸。カタログ通信販売本格化。

【昭和48年】スポーツ

1月3日
ニューヨーク・ヤンキースのマイケル・パーク球団社長(CBS放送副社長)が同球団のフランチャイズを1,000万ドルで投資家グループに譲渡したことを表明。

1月16日
東映球団が、土地ブームで高度成長の日拓ホーム株式会社に身売りされた。

1月24日
琴桜、横綱昇進。

1月25日
去る2日に防衛戦を行い、チャンピオンの座を守ったばかりのプロボクシング世界フライ級チャンピオンの大場政夫(23)が、高速道路で交通事故で即死。

2月27日
ジャイアント馬場、ボボ・ブラジルを破りPWF世界ヘビー級選手権者に。

3月12日
世界ジュニア・ライト級タイトルマッチで、柴田国明がチャンピオンのベン・ビラフロール(比)に判定勝ち王座に。2階級制覇。

4月14日
パ・リーグは2シーズン制を採用し前期開幕(~57年)。

4月20日
日本プロレス解散。全日本プロレスへ合流。

5月3日
本土復帰沖縄特別国体開幕。

5月30日
輪島、初の学士横綱となる。

5月30日
中日スタジアム社長、経営不振苦に自殺。

中日球団、肩代わり自主運営。

6月24日
サンタクララ水泳大会で田口信教は100メートル平泳ぎで1位となるが泳法違反で失格。

7月12日
全日本ゴルフアマチュア選手権で18歳の中島常幸初優勝。

7月31日
元横綱東富士、結腸ガンで死去。

8月23日
日本女子プロゴルフ、樋口久子6連勝。

10月24日
パ・リーグ、プレーオフで南海が優勝。

10月25日
アベベ・ビキラ(42)死去。

11月1日
巨人V9達成。

11月17日
日拓から身売りされた日本ハム球団で、三原脩が球団社長に、中西太が監督に就任、初の親子コンビ実現。

12月10日
アントニオ猪木、NWF世界ヘビー級選手権者に。

【昭和48年】舞台

3月15日
テアトルエコー、井上ひさし作「珍訳聖書」(紀伊国屋ホール)。

4月10日
大宮敏光のデン助劇団、浅草松竹演芸場でさよなら公演。

5月
早稲田小劇場ナンシー演劇祭で「劇的なるものをめぐってII・改訂版白石加代子抄」。

5月
演劇センター68/71の黒テント、常打ち地武蔵野市の空地を騒音問題で追われる。

5月
桜社、唐十郎作「盲導犬」(蜷川幸雄演出・緑魔子・石橋蓮司)。

5月28日
若水ヤエ子死去(47)・

6月3日
中村錦之助改め萬屋錦之介特別公演。歌舞伎座。

6月4日
西武劇場オープン、安部公房スタジオ(田中邦衛・仲代達矢・井川比佐志ら14人)旗揚げ公演「愛の眼鏡は色ガラス」。

7月1日
天井棧敷、日本初の街頭演劇「地球空洞説」(寺山修司作・演出)を高円寺小松公園で。

7月14日
演劇団・つんぼさじきが演劇センター68/71公演中の紀伊国屋ホールへ殴り込み。

7月18日
三島雅夫(67)死去。

9月
青山VANホール開場。

9月
日劇ミュージックホール構成演出に福田善之起用。

10月7日
森雅之(62)直腸ガンで死去。

12月22日
浪花千栄子(66)消化管出血で死去。

【昭和48年】美術

2月24日
太宰府遺跡出土品など収納の九州歴史資料館オープン。

2月
「平櫛田中展」(東京国立博物館)<転生><鏡獅子>など33点。

3月
モネ展(渋谷・西武)。

3月
中西夏之展(南画廊)。

4月13日
ユージン・スミス写真展<水俣-生・その神聖と冒瀆>(池袋西武)。

4月
「写真批判」創刊。

5月1日
草戸千軒町遺跡調査所開所。

5月10日
現代日本美術展-現代美術20年の展望(都美)105人200点展観。

5月
斎藤義重展(東京画廊)。

6月1日
ダイアン・アーバス展(西武百貨店)。

6月3日
第1回彫刻の森美術館大賞展、山本衛士<山景(中間領域、二つの箱、逆ピラミッド接触)>大賞受賞。

6月
黒田清輝展(神奈川近美)。

9月
近代日本美術史におけるパリと日本(東近美)。

9月
ジャコメッティ展(池袋西武)。

11月
ジャコモ・マンズー展(東近美)。

11月
デ・キリコ展(神奈川近美)。

11月
今日の作家73展(横浜市民ギャラリー)堀浩哉・真坂雅文・山中信夫ら。

*東松照明「太陽の鉛筆」(~50年・カメラ毎日)/渡辺克己『新宿群盗伝’66~’73』(薔薇画報社)/ユージン・スミス『水俣』/篠山紀信『スター106人』「カメラ小僧なんでも見ちゃったのだ」(少年マガジン)/中平卓馬『なぜ植物図鑑か』/沢渡朔『森の人形館』/西村多美子『しきしま』。

【昭和48年】文・学

2月
『意識倒産』『政治と犯罪』などのエンツェスベルガー(西独)(43)が来日。

3月
川端康成文学賞発足(短編小説を対象)。

5月
TK生「韓国からの通信」第一信(「世界」特集<韓国の現状を憂える>)連載開始。

6月23日
ソ連の詩人、エフゲニー・A・エフトシェンコ「自作の詩 朗読会」(西武劇場)。

6月
野間宏、A・A作家会議ロータス賞受賞。

7月
発禁の詩集『野良着』(加藤吉治・無肥料地帯社・昭和8年(1933))、40年ぶりに復刊。

8月
久保田正文、仙台鉄道管理局の「いぬ」(岡崎一郎・マル生運動扱う)改修に抗議。

8月
青地晨ら金大中事件に対し日韓両国に声明。

10月
第二次「辺境」(井上光晴ら)刊行。

10月
山崎豊子「不毛地帯」(サンデー毎日に連載中)に盗用問題おこる。

10月30日
筑摩書房創立者、吉田晁(67)死亡。

11月14日
瀬戸内晴美、天台宗平泉・中尊寺で剃髪、仏門へ。

12月6日
国連大学日本設置決定。

12月
ソルジェニーツィンの『収容所列島』、ニューヨーク・タイムズ紙に連載。

*<終末論>の流行
「終末から」(筑摩書房)という雑誌が創刊され(6月)、小松左京のSF小説『日本沈没』が爆発的売れ行き。つづいて、1999年7月を人類滅亡の日と予言する『ノストラダムスの大予言』(五島勉)。

*堀田善衞「ゴヤ」(朝日ジャーナル)/加藤周一「日本文学史序説」(同)/中上健次「十九歳の地図」(文芸)/宮尾登美子「櫂」(展望)。

*加賀乙彦『帰らざる夏』/大江健三郎『洪水はわが魂に及び』/田村隆一『新年の手紙』/吉増剛造『王国』/篠田一士『日本の近代小説』/井上光晴『心優しき叛逆者たち』/半村良『黄金伝説』/高木彬光『邪馬台国の秘密』/安部公房『箱男』/E・モラン『オルレアンのうわさ』(杉山光信
訳)/広末保『辺界の悪所』

*『校本 宮沢賢治全集』(天沢退二郎・入沢康夫ほか編・筑摩書房)、『日本庶民文化資料集成』(芸能史研究会・三一書房)、『シェイクスピア全集』(小田島雄志 訳)、『荻生徂徠全集』(吉川幸次郎・丸山真男監修・みすず書房)/『金史良全集』(河出書房新社)。

*中公文庫創刊。

*季刊「現代思想」(青土社)、「こどもの館」(福音館書店)、季刊「文芸展望」創刊。

*季刊「文学的立場」終刊。

*ベストセラー 小松左京『日本沈没』/遠藤周作『ぐうたら人間学』/渡辺正『にんにく健康法』/山崎豊子『華麗なる一族』/司馬遼太郎『国盗り物語』/糸山英太郎『怪物商法』。

*芥川賞 三木卓『鶸』、森敦『月山』、野呂邦暢『草のつるぎ』。
 直木賞 藤沢周平『暗殺の年輪』、長部日出雄『津軽世去れ節』『津軽じょんがら節』。

【昭和48年】漫画

1月
梶原一騎作、ながやす巧画「愛と誠」(少年マガジン)。山本鈴美香「エースをねらえ!」(マーガレット)。水島新司「あぶさん」(ビッグコミック)。

2月
松本零士「戦場まんがシリーズ」(少年サンデー)。

3月
大島弓子「ミモザ館でつかまえて」(マーガレット)。村野守美「草笛のころ」(漫画アクション)。佐藤忠男『日本の漫画』刊。楠勝平「彩雪に舞う」(ガロ)。

4月
土田よしこ「つる姫じゃーっ!」(マーガレット)。京都精華短大美術科にデザインコース・マンガクラス創設。東京マンガスクール開校。

5月
「劇画ポスト」創刊。鶴見俊輔『漫画の戦後思想』刊。

6月
「劇画ゲンダイ」創刊。ちばあきお「プレイボール」(少年ジャンプ)。中沢啓二「はだしのゲン」(少年ジャンプ)。牛次郎作、ビッグ錠画「包丁人味平」(少年ジャンプ)。

7月
内田栄一作、旭丘光志画「噫、日本共産党史五〇年伝」(週刊プレイボール)19回で中断。矢口高雄「釣りキチ三平」(少年マガジン)。

8月
虫プロ商事倒産、「COM」休刊。ちばてつや「おれは鉄兵」(少年マガジン)。ちばてつや「のたり松太郎」(ビッグコミック)。里中満智子「アリエスの乙女たち」(少年フレンド)。横山まさみち「劇画・戦後日本経済史=嗚呼激動の二十八年!」(Tradepia=日商岩井のPR誌)。水木しげる『総員玉砕せよ!』刊。

9月
つのだじろう「恐怖新聞」(少年チャンピオン)。

10月
石子順造、菊地浅次郎、権藤晋『劇画の思想』刊。

11月
虫プロ倒産。手塚治虫「ブラック・ジャック」(少年チャンピオン)。

12月
つのだじろう「うしろの百太郎」(少年マガジン)。

*劇画が一般週刊誌にも掲載。

【昭和48年】映画

3月27日
ロスのアカデミー賞じゅしょうしきで主演男優賞のマーロン・ブランドは、リトル・フェザーと名乗るインディアン女性を代理人に「TV・映画でインディアンの描き方が不当であり、これに講義し受賞拒否」の声明。’70年「パットン大戦車軍団」のジョージ・C・スコットにつづき、アカデミー賞拒否は2人目。

7月20日
ブルース・リー(32)香港の愛人宅で急死。

11月23日
早川雪洲(87)かんだするがだいの杏雲堂病院で肺炎のため死去。主な作品「タイフーン」「ヨシワラ」「戦場にかける橋」。

津軽じょんがら節 ATG
監督:斎藤耕一
主演:江波杏子、織田あきら

仁義なき戦い 東映
監督:深作欣二
主演:菅原文太、松方弘樹

青幻記 青幻記プロ
監督:成島東一郎
主演:田村高広、賀来敦子

股旅 ATG
監督:市川崑
主演:小倉一郎、尾藤イサオ、萩原健一

恍惚の人 東宝
監督:豊田四郎
主演:森繁久弥、高峰秀子、田村高広

四畳半襖の裏張り 日活
監督:神代辰巳
主演:宮下順子、江角英明

戒厳令 ATG
監督:吉田喜重
主演:三国連太郎、松村康世

男はつらいよ・寅次郎忘れな草 松竹
監督:山田洋次
主演:渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子

仁義なき戦い・代理戦争 東映
主演:菅原文太、小林旭、金子信雄

やくざと抗争・実録安藤組 東映
監督:佐藤純弥
主演:安藤昇

ゴルゴ13 東映
主演:高倉健

朝やけの詩 東宝
監督:熊井啓
主演:仲代達矢、関根恵子、北大路欣也

日本侠花伝 東宝
監督:加藤泰
主演:真木洋子、渡哲也、村井国夫

同棲時代-今日子と次郎松竹
主演:由美かおる、仲雅美

赤い鳥逃げた? 東宝
監督:藤田敏八
主演:原田芳雄、桃井かおり

恋人たちは濡れた 日活
監督:神代辰巳
主演:中川梨絵、絵沢萌子

㊙女郎責め地獄 日活
監督:田中登
主演:中川梨絵、絵沢萌子、大江徹

鉄砲玉の美学 ATG
監督:中島貞夫
主演:渡瀬恒彦、杉本美樹

水俣一揆 青林舎
監督:土本典明

三里塚-辺田部落 小川プロ
監督:小川紳介
撮影:大津幸四郎ら

初国知所之天皇 自主映画
監督:原正孝

スケアクロウ 米
主演:ジーン・ハックマン、アル・パチーノ

ジョニーは戦争へ行った 米
監督:D・トランボ
主演:T・ボトムズ

ブラザー・サン シスタ・ムーン 伊
監督:F・ゼフィレッリ

ジャッカルの日 英
監督:F・ジンネマン
主演:E・フォックス

ポセイドン・アドベンチャー 米
主演:ジーン・ハックマン

マクベス 米
監督:ロマン・ポランスキー
主演:ジョン・フィンチ

探偵-スルース 英
監督:マルキウィッツ
主演:L・オリヴィエ

激突! 米
監督:スティーブン・スピルバーグ
主演:D・ウィーバー

L・B・ジョーンズの解放 米
監督:ウィリアム・ワイラー
主演:リー・J・コップ

ラスト・タンゴ・イン・パリ 米
監督:B・ベルトルッチ
主演:M・ブランド、M・シュナイダー

ゲッタウェイ 米
監督:サム・ペンパー
主演:S・マックィーン

ロイ・ビーン 米
監督:J・ヒューストン
主演:ポール・ニューマン

フォロー・ミー 米
主演:ミア・ファロー、トポル

メカニック 米
主演:C・ブロンソン

ボギー!俺も男だ 米
監督・主演:ウッディ・アレン
共演:D・キートン

男の出発(たびだち) 米
監督:ディック・リチャーズ
主演:G・グライムズ

ビリー・ザ・キッド21歳の生涯 米
監督:ペキンパー
主演:C・クリストファーソン

ふたり 米
監督:R・ワイズ
主演:P・フォンダ、L・ワグナー